助産師の魅力について。
- 2015年04月01日
- OBからのメッセージ
一期生の相原です。
現在、千葉県のクリニックで助産師として勤務しております。
先日、なぜか大学同級生T君の同僚の分娩介助をさせていただきました。お産後、患者様から職場を聞くとT君と同じで驚きました。妊娠中はT君から『無理は絶対しちゃダメだよ。自分の身体を一番に考えてね。』と話しかけてもらえたとお話されていました。
不思議なご縁も感じ、優しい同級生にも誇りに感じ…助産師はそれくらい魅力あるお仕事です♪
この数日、助産師の魅力について考えていますが、魅力を言葉にするのはとても難しいように感じます。私自身は助産師の魅力について語ることができるほど成長してはおらず、誇れることもありませんが、私のような能力のない人間が成長するために必要なことは継続すること、経験を積むことだと実感しております。
卒業直後に就職した総合病院では混合病棟で分娩件数も少なく、学習しながら働くことが難しい環境にありました。
助産師としての最先端を学びたいという思いが強く、その後は分娩件数が日本一多い東京の産院で勤務しました。やりがいを感じましたが、実際分娩介助ができるのは新人や学生さんで、お産から遠ざかっていきました。分娩件数ではない、内容だと教わりましたが人に教える立場にないとも思いました。臨床4~5年目で指導する立場になることに能力の不足を感じたのです。
診療所にいく恐怖感はありましたが、同級生のYさんから『診療所で産む人が多いのに、それを知らないで助産師とは言えない』という一言が背中を押してくれました。
現在、診療所の中ではまだまだ若手に位置し、周りに支えていただき勤務しています。
看護師業務に追われ分娩介助をしていた北海道での勤務時代、理想を追求した東京での勤務経験があるからこそ、今の環境で勤務できているのだと思います。
学習して時代の変化に対応できなければ患者さんに苦痛をもたらすケアを続けることになります。
理想を追求すると、周産期は患者さん自身が修行僧のようになります。制約と変化が増え、息苦しくなっていくのです。もちろん患者さんに理想を求めて、想像していた結果や反応が得られない場合は助産師自身も苦しくなります。
今の職場ではじめて個々に合わせた対応ができるようになりました。そして『無理はしないで。一番大切なのは長い育児期間、ママが幸せで楽できること。』と言えるようになりました。 そして、結婚、出産、離婚、育児など様々な苦難(?)を乗り越えていない私だからこそ『こんな職業の私でも保健師さんや看護師さんに相談して頼ってばかりいます。つらいときは地域の医療者が味方になってくれますからね。』と伝えることもできます。
理想の助産師像なく助産師になったため、たどりつく場所や満足できる結果はありませんが、臨床経験のみが私を成長させてくれています。
本からは学べないこと、他者に伝えるには難しい自然に得た感覚を手に感じることがあります。
今後、経験をつめば皆様に助産師の魅力をしっかりお伝えできる日がくるかもしれません。今は産婦さんの2人目、3人目を分娩介助する機会もあります。『前の子も助産師さんだったんです!』と、安心したようなお顔で言っていただけると大きな喜びを感じます。
きっと分娩介助した子供が子供を産む時代がきたら、また新たな魅力を感じることができると思います。
産科は生だけでなく死もあります。小児科医がいないクリニックに不安を感じ、NICUにも行きたい、周産期センターでも勤務したい。そんな思いにかられることがたびたびあります。総合病院ならば私がほしい環境が整うかもしれません。しかし、環境ではなく自分が変わらなければ何も変わらないという思いもあります。
もうお亡くなりになった流通ジャーナリストの金子哲雄さんの本に、いくつもの専門病院や大学病院を訪ね歩いたけど助からない患者だから冷たい態度をとられたり拒否された、でもあるクリニックにたどり着いて、『医療技術の前に人柄に救われた。癒された。』と書いてありました。
クリニックにしかできないあたたかい医療があるはずです。今、与えられた環境で必要とされるよう今後も努力してまいります。